サイモン・シネックという人が書いたこの「WHYから始めよ!」という本は一時期日本でも話題となりました。
というのも、このサイモン・シネックは、TEDという日本でも人気のスピーチサイトで、この「WHYから始めることの重要性」についてスピーチして、それが話題となっていたんですね。
その内容が書籍化されたのがこの本で、アメリカでも日本でも売れたようです。
最近はビジネスをやっていく上で「共感」というのがキーワードになってきている、というのはこのブログでもお伝えしてきたのですが、その「共感」に直結してくるのがこの「WHY」の部分です。
今更ながらこの本から学ぶことが多いと感じたので、その内容をザックリ(自分の覚えもかねて)紹介したいと思います。
「操作」ではなく「鼓舞(インスパイア)」させろ!
まず、この本での前提として、ビジネスとして大事なのは
顧客を「操作(マニピュレイト)する」ことではなく、「鼓舞(インスパイア)する」ことだ
とされています。
顧客を「操作する」とは?
顧客を「操作する」というのは簡単に言えば、その商品やサービスの
- スペック
- 価格
- 他社に対する優位性
などを並べたて「欲しい」と思わせて買わせる、というものです。
これはそうやって書くと別に違和感はないですし、ほとんどの企業はそこにフォーカスして広告やテレビCMを流していると思います。
ただ、サイモン・シネックは
「そういったやり方は継続しない」
と言っています。
単発での売上げには貢献するかもしれないけれど、顧客が「次も買おう」と思わせることが難しい。つまり、前の商品やサービスに対してさらに「スペックを向上」させたり「価格を下げる」ということをしなければいけなくなる、ということです。
これはこの本では
「WHATを売っている」
ということにカテゴライズされます。
つまり、その商品やサービスが「何か?」ということにフォーカスして、それを売っている、ということです。
顧客を「鼓舞する」とは?
一方、顧客を「鼓舞する」といのは、簡単に言えば
理念に共感してもらって自ら動いてもらう
ということです。
これはその商品やスペックなどではなく、その商品を「なぜ開発したのか?」ということを伝えることが重要で、それがこの本のテーマである
WHY
の部分に当たるものです。
このWHYを語ることによって、顧客を鼓舞することができ、顧客からファンになり、ビジネスが長期的に持続可能なものとなります。
WHYを語れば共感が生まれる
WHYはその企業や商品・サービスの理念などを言語化したものです。
なので具体的な数字で表せるものではなく抽象的なものなのですが、それを表現することによって顧客に共感が生まれます。
ただ、このWHYは言語化するのが非常に難しいです。
例えば「この人となぜ結婚したのか?」という問いに対して、WHATで答えるのは簡単です。
「お金持ちだから」とか「優しいから」っていうのがWHATの答えなのですが、ただそれは他の人との比較になるため、もっとお金持ちの人や、もっと優しい人が現れたらそちらに向いてしまうということになります。
これがWHYで表現しようとすると「ただ何となく居心地が良いから」みたいなぼんやりとした答えにしかならないんですよね。
ただ、それがWHYの答え方で、そういった内面的な理念などを、いかに言語化して伝えるかっていうのが重要になってきます。
だから、ほとんどの企業はWHATを語ることしかしていないため、他社との価格競争などで疲弊していきます。
WHATを語ったDELL、WHYを語ったApple
この本では、「WHATを語って失敗した企業」と「WHYを語って成功した企業」の対比として色々な企業の事例が出てきます。
その中でも良く登場するのがDELLとAPPLEの対比です。
同じコンピュータメーカーと認識されがちな2社ですが、WHATを語ったDELLとWHYを語ったAppleで大きな差が生まれています。
WHATを語ったDELL
一時期、MP3デバイスが流行したとき実はDELLもそのMP3事業に乗り出しています。
ただ、ほとんどの人がDELLがMP3を作っていたことなんて知らないはずです。
というのも、DELLは「自分たちはコンピューターを作っている会社だ」というWHAT(何を作っている会社か)を常に打ち出してきたので、コンピュータ以外のMP3デバイスを打ち出しても顧客がついてこれなかったんですね。
つまり共感が起こらなかったわけです。
そして顧客はもとより、DELL内で働く人たちにすら共感されなかったことも問題で、だれもが半信半疑で動いていたようです。
だから結果としてDELLのMP3デバイスは売れなかった。
WHYを語ったApple
一方、Appleは自分たちを「使命を帯びた会社」と定義して、それをテレビCMでも打ち出していました。
「ライフスタイルは変える」
といいう理念を打ち出すことによって、もともとはコンピュータメーカーとして始まったAppleは、なにを売り出しても成功するようになりました。
実際、MP3デバイスのiPodや、音楽システムのiTunesは世界的なイノベーションを起こした事例として紹介されています。
このように、WHATを語って失敗した事例と、WHYを語って成功した事例が分かりやすく紹介されているので、理解しやすくて読みやすいのがこの本の特徴でもあります。
まとめ
ということで「WHYから始めよ!」という本について紹介してきました。
結局は「その商品が何なのか?」というWHATを語るのではなく、「なぜその商品を作ったのか?」というWHYを語ることによって共感を促し、ファン化していくことがこれからのビジネスで重要ということですね。
世界的にも売れて読みやすい本なので、お勧めです。
何かの参考になれば。
では。
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